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教育長あいさつ令和元年5月号

 

教育長あいさつ

                   


                          




                              なぜだろう? 学び深める 五月風(酔花幻)

 







 

 「風薫る五月」の言葉通り、さわやかな風と共に若々しい緑の香りを私たちに届けてくれる素敵な季節を迎えています。この季節になると幼き頃の思い出が蘇ります。「太郎君」との思い出です。

 太郎君とは我が家の縁側の下に棲んでいたウスバカゲロウの幼虫。1年から2年で巣立ってしまいますが、違う個体が毎年同じような場所に巣を作ってくれるので、小学生の私は彼らを勝手に「太郎」と命名していました。

 友達と遊べない日は太郎君が遊び相手。獲物を捕まえ、体液を吸い、その後干からびた抜け殻を巣の外に放り出す様子が面白く、また不思議で一日中飽きることなく縁側の前に座っていました。

 太郎君は何が好きなのかを知りたくていろいろな餌を食べさせてみたり、どのくらいの大きさまで捕捉できるのか疑問だったのでカナブンとかカマキリとかを巣に落としてみたり、他の巣から幼虫を掘り出して太郎君に与え「共食い」するかどうか試してみたりしました。

 巣の中での詳しい生態を調べたくて透明の水槽で飼育してみたり、干からびたアリを顕微鏡で覗いてみたり、時に「アリが近づいてきます、アッ、足を滑らせました。砂に足をとられながらも必死にはい出そうとしています。おっと太郎君が気づいたようです。得意の砂攻撃です。アリも疲れている。もうダメだ。太郎君につかまってしまいました。アリの運命や如何に!」といった「一人実況中継」をやったりもしました。

 巣にダンゴ虫を落とす時にちょっと心が痛みましたし、もがいているアリの姿を見てドキドキしたり、ちょっとだけそれを楽しんでいる残酷な自分に気が付いたりもしました。今考えてみると理科の調べ学習だけでなく、国語の「話す」勉強にも道徳の勉強にもなっていたように思います。

 理科でも算数でも音楽でも学習の根っこにあるのは「興味・関心」です。「今度の勉強面白そう!」「今日の授業楽しみだな」「なんでかな? どうしてかな?」「こうしたらどうなるだろう…」「もっと知りたい! もっとできるようになりたい!」…。こんな思いを子供たちに抱かせることができれば強制せずとも子供たちはどんどん学ぶようになります。

 こんな興味・関心は、私と太郎君とのかかわりのように、五感をフルに働かせながら対象となるものと、ゆっくりじっくりと向き合う中から生まれ出てきます。そしてそのことによって私が経験したような水槽や顕微鏡などを使った、より詳しい学びへと深まったり、理科から国語へ、そして道徳へと学びが広がったりしていくのです。そこには先生もいなければチャイムも鳴りません。教科書を忘れて怒られることもなければ、きれいな文字でノートをとることもないのです。それでも興味・関心がエネルギーになって時を忘れて学びに没頭していく…。これぞ「地に足が付いた本物の学び」です。

 そうはいっても、今の学校教育において子供たちに「本物の学び」を経験させるだけの時間確保は至難の業。国語も算数も社会も理科も学ぶべき内容がビッシリです。先生が「もっと時間をとって学習内容と向き合わせてあげたい」と思っても教科学習ではなかなかそれができずに、「効率よく」「短時間で」興味・関心を抱かせるような「手法」を追究せざるを得ません。時にその時間もない場合は「今日の授業はテストに出るからちゃんと聞きなさい!」等と「脅し」や「強制」によって学びに向かわせたくなることも…。

 また学校では小学校45分、中学校50分で学習を一区切りさせなければなりません。たとえもっと触れていたい、かかわっていたい、観ていたい、聞いていたいと思っても、チャイムが鳴ったら膨れ上がった興味・関心を中断して次の勉強に移らなければならないのです。

 本当ならもっと伸び伸びと子供たちが学べる学校教育でありたい…、私は心底そう思っています。そんな中でも先生方は、子供たちを「足腰がしっかりした本物の学び」に一歩でも近づけようと指導法を研究し、互いに学び、工夫を重ねてくれています。また清瀬市では「教育課程(学校における教育プログラム)の編成権は校長にある」という大原則に則って、例えば理科の時間は2時間続きとか、土曜日授業は徹底して調べ学習を行うとか、学校の想いや願いに基づいた自由度の高い時間割を組むことも可能な環境を整えています。

 そして何よりも清瀬には五感をフル活用しながら、感じ、考え、行動できる材料としての「自然」という財産があふれています。清瀬には「足腰がしっかりとした本物の学び」を進めていく豊かな土壌があるのです。

 漢字をたくさん書ける力も必要、計算が素早くできる力も、歴史の年代を正確に覚えている力も身に付けさせたい。しかし清瀬ではそのような「目に見える学力」だけでなく、「興味・関心」という「目に見えない学力」も同時に高めていくことを目指しているのです。

 各校土曜日などに公開授業が設けられています。是非足を運んでいただき、各校、各先生方が「見えない学力」を育んでいる様子をご覧ください!


教育長 坂田 篤


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