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教育長あいさつ平成31年1月号

 

教育長あいさつ

                      

 

 「覚悟」と「感謝」

 

    振袖や ひらりひらりと 蝶の群れ(酔花幻)

 
 新年の喧騒が筆を鈍らせてしまっていました。本年も何卒よろしくお願いいたします。
 
 さて、1月13日(日曜日)に他の自治体より一日早く成人式典が行われました。今年の新成人は797名。けやきホールは575名の若者の熱気とエネルギーで埋め尽くされました。
 
 成人式は我が国が失いつつある通過儀礼という文化の一つ。だから少なくとも式典には厳粛な想いで列席してほしいと願い続けてきました。しかし若者の意識は久しぶりに出会った同級生との「同窓会」。近況報告をし合ったり、中学校時代の思い出話に花咲かせたり、なつかしさが故に気持ちが開放的になって羽目を外したり…。中学時代とのギャップに周囲が驚くことを楽しんだり、また当時とは変わらない自分を演じたり、華やかな晴れ着やこの日のために新調した背広の自慢をし合ったり…。
 
 少なくともつい100年前まで当然のように行われていた「元服」の思いもなければ、「6kgの米俵を担いで10km歩けば一人前」などという「試練」の色合いもありません。しかし大人としての「覚悟」は意識の問題。「覚悟」はやり方ひとつで決めることができます。「今日から違うステージで生きるんだ」という「覚悟」は働きかけ次第で持たせることができるはずです。
 
 たとえ一時間という短い式典であっても、たとえそんなに簡単に「覚悟」を決めることができなくとも、それを少しでも考えてほしいし、意識してほしい…。「通過儀礼」という言葉が死語になりつつある現代では非常に難しいことであろうとは思いますが、式典を主宰するものとして抗いたい。いや抗わなければならないと思っています。

 

 私はこの重要な意味を持つ式典の「開会の辞」という重責を担っています。だから毎年何を話すか、どうすればその想いを伝えられるか心底悩みます。なぜなら一時間の授業でも会議でもイベントでも式典でも「最初の一言」がその場の空気をつくるから。ピリッと引き締まった授業にするもしないも自由闊達に意見を述べあえるフランクな会議にするもしないも、冒頭の一言は大きな意義も責任も担っているのです。

 

 …とは言っても、中学校の生活指導のように「おい!コラッ!」とやるわけにはいかないし、小道具を使って注目を促すような姑息な手も使えません。開放的になって勝手なことをしゃべり、勝手なことをしている彼らの眼をこちらに向け背筋を伸ばさせるには形式的なあいさつは全く無力。彼らの心を動かすような私の「教師としての真の腕前」が試されます。そんな緊張に包まれてこの日もステージに立ちました。

 

 今年のメッセージは以下の通りです。

 

〇8年前、諸君が12歳、小学校6年生の時、死者・不明者1万8千人を超える未曽有の大災害、東日本大震災が起きた。多くの若者が復興の支援のためにボランティアに駆け付けた。その数は延べ10万人とも20万人ともいわれている。

 

〇かと思えば、昨年10月、ハロウィンでにぎわう渋谷の街で、酒に酔った若者が軽トラックを横転させ、逮捕されるという事件が起きた。狼藉を働いた若者は警察の事情聴取で「ノリでやってしまった」と言っている。

 

〇両者の何が違うのか。私は「覚悟」と「感謝」ではないかと思う。「社会を創る一員としての覚悟」「育ててもらった人たちへの感謝」である。その二つの心があるかないかでおのずと行動は変わってくる。

 

〇今日という日は、その「覚悟」を決める一日、「感謝」の思いを再確認する一日である。久しぶりに再会した友も大人のスタートを祝ってくれるだろうし、きらびやかな晴れ着も今日というハレの日にふさわしい。諸君の未来を暗示するようだ。心から祝うが一方でこの「覚悟」と「感謝」を一人一人の心に宿す一日にしてほしいと願っている。

 

 例年通り話の途中で大声で笑ったり、勝手なおしゃべりをしたり、途中で席を立ったりする成人も何人かいましたが、多くは私が言うまでもなく「覚悟」と「感謝」の思いをもってこの場に身を置いているとことが伝わりました。

 

 代表として「決意」を述べた3人の新成人がこのことを証明してくれました。吉川瑞希さんは希望の大学合格を目指して猛勉強中。「大人になるということがどういうことなのか、何を指すのかわかりませんが、(中略)自分のできる範囲の精いっぱいの力を誰かのために注ぐ…、そんな大人になることを誓います」と堂々と宣言してくれたし、美容師になるために勉強している萩原芽衣さんは「今までたくさんの大人の方に支えられてきました。(中略)感謝の気持ちを思いやりの心に変え、このまちと人にお返ししていくとともに、一人の社会人として自覚と責任をもって(中略)日々精進していきます」と胸を張って言い切ってくれました。最後に演台に立った菊地夏子さん。彼女はまだやりたいことが見つかっていません。「(大学を卒業する2年後)私も自分がやりたいことに向かって進んでいけるように、残りの大学生活では日々挑戦する気持ちを忘れず、視野を広げて自分の夢を見つけていきたいと思います」と決意を語ってくれました。

 

 5年後、10年後の社会を創るのは紛れもなく彼ら。「覚悟」を決め「感謝」の気持ちをもってきっと素敵な、心豊かな、また力強い社会を創り上げてくれることでしょう。797名に幸あれ!

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教育長 坂田 篤


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