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教育長あいさつ平成29年9月号


教育長あいさつ

   

 

 

 

教育は世の中の流れについていけるか!

 

 

 

 蜩の 切なき歌に 夏思う

 

 

 

 
  夏休みが終わって市内14校の小中学校で2学期が始まりました。小学生の時、蜩の声を聞くと切なさで心がはちきれそうでした。もう夏が終わってしまうんだな…、おばあちゃんの家で食べたスイカがおいしかったな…、ちょっとだけ水泳が得意になったな…、もう一度海水浴に行きたいな…、夜更かしできて楽しかったな…、こんなノスタルジックな想いと、また早起きしなくちゃいけないのか…、宿題やってない!どうしよう…、大嫌いな算数の授業が始まる、憂鬱だなあ…、という現実的な想いがごちゃ混ぜになって、本気で「時間が戻ればいいのに」と思っていました。実は今でも蜩の声を聞くと切なくなります。遠い昔の記憶が心に刻まれているからなのでしょう。 

 

 「音(音楽)は心のタイムマシン」です。音は一瞬にして当時の記憶をよみがえらせてくれます。音楽は思い出の「あの日」「あの時」「あの場所」「あの人」の元に連れて行ってくれます。味もにおいも、感覚もよみがえらせてくれます。私は毎年、夏の終わりには蜩の声に誘われてタイムマシンに乗っているのです。

 

   さて、タイムマシンは私たちを「未来」へも連れて行ってくれます。今の小学生が社会の中核として活躍する20年後、社会はどうなっているのでしょう。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン博士は「今後10年から20年で、今ある仕事の47%は自動化される」といい、ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン博士は同じく「今後20年以内に、今ある職業の65%は形を変えるか、なくなるかするだろう」という未来予想を立てています。

 

  すでに自動運転の車が高速道路を走っています。東大では人工知能「ワトソン」に膨大な医療データを分析させてがん治療の方針を決定し、すでに成果を上げているとのこと。パナソニックは2020年の東京五輪を目指して、首からぶら下げるペンダント型自動翻訳機の開発を急いでいます。この技術が普及したら「通訳」という仕事はなくなるかもしれません。このように、今人間がやっている仕事はどんどん人工知能にとって代わられることになります。では我々人間ができる仕事はどのようなものなのでしょう。20年後の社会を生き抜く、目の前の子供たちに、教育はどのような力を付けさせなければならないのでしょう。

  一つ目の問いの答えは「人間にしかできないこと」です。ディープラーニングにより自ら学習することで人工知能が一層進化し、詳細に解析したり方向性を示したり、様々な作業を代替えできるようになったとしても、最後に判断・決断をするのは人間です。人工知能のデータをもとに「自分はこう思うんだ」と情熱をもって語り、他者の心を動かすことができるのも人間だけ。これがひっくり返ってしまうと、まさにスタンリーキューブリックの「2001年宇宙の旅」そのものになってしまうことでしょう。

 

  また、相手を思い、相手に寄り添い、時に共に笑い、時に共に涙し、時に感動し、時に苦労を乗り越える…、このような「人と人とのかかわり合い」「心と心のふれあい」は人工知能では決してできないこと。あるお医者さんが「どんなに医療が進歩しても、最善の治療は患者さんに暖かで勇気を与える言葉である」と熱く語っていらっしゃったことを思い出します。

 

  二つ目の答えは、このたび改訂された「学習指導要領」の中にあります。最も強調されているのは「生きて働く知識や技能」「未知の物事にも対応できる思考力・判断力・表現力」、そして「いつまでも学び続ける力と人間性」といった「資質・能力」の育成です。単に計算が早く正確にできる、漢字をたくさん覚えている、歴史の年代を諳んじられる、正確な音程で歌が歌える…、等の力「だけ」ではない、「知識や経験をもとにしっかりと考え最適な答えを導き出せる力」「他の人の納得を導きだして力を合わせて実行する力」「困難があってもやり抜くことができる力」等を育んでいこうとしているのです。

 

  今教育は変わろうとしています。いや、変わらなければなりません。本当であればタイムマシンに乗って、20年後の社会を見ることができれば、誰もがこの「変化」が不可避のものであることがわかるでしょうが、これだけは科学技術がいかに発展してもたぶん無理。でも我々には想像力・創造力と分析力、そして何よりも「教え子」たちの幸せを願う強い気持ちがあります。20年後を生きる子供たちを決して不幸にしない教育を、先生方とともに研究していく2学期にしたいと思っています。

 

 
教育長 坂田 篤

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